第 二 幕
第二部 義経
■一幕が予定外に長くなってしまったので、ここからはサクサクと。二部の演目はご存じタッキー演じる義経劇で、それも「誰も知らなかったもう一つの義経物語」的なナレーションで始まる問題作!時代考証無視、N●Kの製作スタッフに訴えられないか、原作の宮尾登美子先生が怒ってこないか心配になるような内容でしたが、劇場入り口にそうそうたる面々(黛りんたろう・マツケン・高橋英樹・美輪明宏・細木数子等々)からのお花が届いていたので、根回しは済ませてるんでしょう。ちなみに横山・大倉にはテイチクさんからだけ。……こら!テレ東なにやっとるんじゃ、スカ☆Jから出しとかんかい!すばるがネバゴナ出た時はちゃんと贈ってきたくせに〜。
ともあれ、唯一まともなリハが必要だったっぽい芝居仕立ての第二部「義経」ですが、パンフにセットリストなどは載ってないので、適当に私の印象で場面分けしました。前後が怪しい場面もあるので、その辺はご了承ください。
1.鞍馬山
竹に囲まれた山の中で自分の進むべき道を迷う義経の前に、父・源義朝の亡霊が現れ「平家を倒せ」と告げて消える。ジュニアは誰も出て無くて、亡霊役はプロの役者さん達。前髪を下ろした滝のかわいさのみ堪能したら、次の場面に進んで問題ありません(爆)
2.回想
いまいち前後がうろ覚えなんですが、この辺りで義経の回想シーンがあって、幼い牛若を抱えた母・常磐(元ヅカ女優・星奈優里さん)が平家の兵士に囲まれる場面。その兵士がABCの4人なんですが、これが結構声の張り方も良くてナイス!と言っても、戸「常盤は我が平家の側室となり、3人の子は寺へ預けるのだ」、河「親も子も命が助かるのだ、たやすいことであろう」と、主な台詞はこの二人とっつーと河合くんが担当。五関くんと塚ちゃんはその側で「ただし条件がある」とか、「いかにも!」とか、短い合いの手役(笑)。うん、まぁ、出来る子ABCで内でも割り振りは必要ですよね。そして赤ん坊の牛若を取り上げるとっつーがステキでした。
3.弁慶登場
正直関西ファンはこれを目当てに来た人も多いと思われる大倉弁慶、一部終わりに引き続いての再登場。キスマイ三人相手に稽古を付け、大倉「この程度の腕で殿の部下が務まるか」と威張り散らす声が妙に高いのが気になる。そんな威張ったところで、お前の腕がどれほどのものか、五条大橋(一部レポ参照)でバレてるのに……。しかしよい子のキスマイ達はちゃんと大倉の顔を立ててくれ、全員倒されて「恐れ入りました(棒読み)」と頭を下げてくれました。そんな部下には強い弁慶も、滝沢義経の前では態度が激変。「殿〜」と呼びかける姿がかわいらしく、ちょっとでかくてうっとおしいけど、なかなか愛いヤツかも。
4.頼朝登場
もう一つの見物である横山頼朝は、色白細面の彫りは深いけど公家風に見えなくもない顔立ちが大変美しく、素直に褒めたい。……褒めたいのに、その烏帽子の紐が食い込んだ二重顎はなんだーー!?(目眩) 隣の滝がまたスッキリした美しい顎だけに、視覚的衝撃は大きい。その顎をタプタプしたい衝動に駆られる安西先生@スラムダンク、もとい横山頼朝は恐れ多くも滝さまを「九郎」と呼び捨て!そして「力を合わせて源氏の世を作ろう」と持ちかけられた滝「はい、母をこの手に取り戻すために!」あれ?そうゆう流れ?観客の内心と同じく横山もいぶかしげな顔をしながらも一応話を合わせ、平家討伐を命じます。……おぬし、なかなかの悪よのう。
5.一ノ谷の合戦
滝+大倉+藪(三郎という役名。大河では電車男の伊藤敦史が演じてた)+キスマイの総勢6名の義経勢(…)が、ひよどり越えで平家の陣の中へ突撃。ここではさすがに一ノ谷セットは用意出来ずに(当たり前だ)平面的な戦いですが、互いの鎧甲が豪華過ぎてセットの有無は気になりませんでした。N●Kの倉庫からパクってきたのかと疑いたくなるジャニ舞台にあるまじき本格的な甲冑は、今後使い道はあるんでしょうか。敵方の平家の大将は役者さんで、その部下にABCの4人。これがすごい頼りになりそうで(笑)、ぶっちゃけこの舞台では最終的にABCを配下に付けた人が生き残るような気がします。
6.こずえとの出会い
義経のお相手と言えば静御前ですが、このオリジナル脚本ではそんな人は出てきません。平家方の女・こずえ(オリキャラと思われる。元ヅカ女優・叶千佳さん)を掴まえて義経の前に引き出した北山くんは、しかし滝さまに「放してやれ」と言われて不満顔(萌)。思わず横尾くんも「それでは示しが付きません!」と援護射撃(萌×2)。傍で見ていた弁慶も「身元くらい改めた方が良いのでは」とアドバイスしするも、一目見て彼女に惹かれた義経は名前だけ聞いて彼女を帰してしまう。滝「しっかり送り届けてやるのだぞ」藤「はっ!間違いなく!」と背筋を伸ばす藤ヶ谷がカワイイ。そしてキスマイが捌けると大倉はニヤニヤ笑って「殿〜」と、滝さまをからかう。(不敬罪!) そんな無礼な部下をさておき、平家追討のために義経は今度は海への合戦に。それを聞いた大倉は「腕の見せ所」と槍を回してアピールするも、さっさと捌けた滝さまからは放置プレイ。
7.壇ノ浦の合戦
ここでまた出てきた新セット、源平の合戦には不可欠な屋形船。源氏と平家それぞれ一艘ずつあって、ホントに大河のまんまの甲冑を纏った滝を先頭に、弁慶以下がそこから飛び出し戦います。うわー、ハリボテちゃうんや……一艘なんぼするねん。(これが初見の感想。ホンマ頭の中で電卓ばっかり叩いてました。←普通に楽しもうよ) 敵方の大将・平知盛はやっぱり一ノ谷の時と同じ役者さんで、その配下はやっぱりABC。(あとプロの役者さん数名) どう見たって皆キスマイ達より強そうなんですが(笑)、そこは滝さまのお力で源氏が平家を追い詰めてゆきます。不安定な足場で難しそうな殺陣を、ABCはちゃんとやれるんだなぁと感心。その中で塚ちゃんが弓を持って最後まで残ってたのが印象的でした。
8.母との再会
船上に残った平家の女を見つけた義経は助けようとするが、源氏の武者と知った相手はそれを拒む。なんと彼女は幼い頃に別れた母・常磐御前だった。成長した自分の姿を一目見てもらおうとするが、戦で目を痛めた常磐には義経の顔が見えない。滝が彼女の手を取り自分の顔に手を当て確かめさせる場面はありきたりだけど涙ものでした。ジャニファン的にはジュニアがいっぱい出る舞台が楽しいんですが、出演者の中で(プロの役者さんを除くと)滝一人演技のレベルが違うので、たまには真剣な芝居もいいかもしれない。同じ親子劇でもサマスト(2004年夏の松竹座舞台)とはえらい違い。ただこの後にこずえが妹だと知り、そして彼女も戦渦に巻き込まれて命を落としてしまう件が些か長すぎる気も。
9.頼朝の裏切り
大倉弁慶は、鎌倉殿(頼朝のこと)へ戦勝報告をする際についつい自分トコの殿自慢が過ぎてしまって、不興を買ってることにも気づかない使えないヤツ。隣ですっかり劇中に感情移入した相方(エイト担)が、「アホ!お前のせいでタッキーが恨まれるんや!」と呟いてました(笑)。ちょうど弁慶が陣中へ戻った時に後白河法皇から、この度の平家討伐の恩賞を授ける使いが来ており、義経は言われた通りに位を拝領します。するとそこへ頼朝が現れ、「勝手に論功行賞を受けるとは言語道断」(この台詞は横山の滑舌では半分くらいしか聞き取れず、想像で補う必要あり)と義経を責め、挙げ句に「謀反だ!九郎と引っ捕らえよ!」と怒り出す。そこで現れたのは、いつのまにか平家から源氏へ転職していたABC(笑)。一方関西組は、横「九郎、お前は大きくなりすぎたのだ」(お前は体が肥大しとるわな!)、大倉「なんて狭い心の持ち主だ」(お前が煽ったんやろ!)と、客が内心突っ込みまくりの台詞の応酬。
10.義経の最後
頼朝の軍勢に追い詰められた義経は館を背に戦うが、次々と倒されてゆくキスマイ達が可哀相で仕方ない。そしてとうとう藪(逃げ上手)も倒れて、義経を守るは弁慶一人に。働き者のABCは今度は弓でもって攻撃しようとするが弁慶に阻まれ、しかし背を射られてしまった弁慶は、最後は頼朝の手によって倒れる。……頼朝に倒される弁慶!?いやだ!そんな弱い弁慶!!弁慶の最後と言ったら、義経が敵の手にかかることを防ぐために全身に弓矢を受けても尚倒れずに立ちふさがる、弁慶の立ち往生をやってくれなきゃ〜!!(ヒント:時間の都合と役者の力量) 館の二階へと逃げ込んだ義経を囲み、松明を手にした頼朝はとうとう建物に火かける。(たぶんこの演出も変更されてるはず。館が燃える場面はライティングで演出してたけど、横山が持ってたのは本物の火だったから) これまで、と覚悟を決めた義経は館と共に最後を迎える……んですが、そこで二部最大の見せ場、館崩しです。火に巻かれた(実際は煙だけ)館のセットが崩れてゆく!うっそ〜、そんなことしちゃっていいの?一旦崩して、また次の公演までに組み立てるの?それも昼夜毎公演!?だめだ、もう頭の中の電卓は桁数オーバー!勝手にやってくれ!(誰も計算しろなんて言ってません)
……とにかく、大河ドラマ主演をここまで引っ張るかと呆れ感心するほど、義経!義経!義経!な二部でした。出演メンバーのファンならいいけど、八乙女とかJJのファンの子達の意見はどうなんでしょう?「日本人に最も愛された」義経の物語と一部終わりで横山が申してましたが、大河も見て無くて、なんの予備知識もなく見に来たジュニアファンのお嬢さんなんかには、どこまで理解できたかもわからないし。(そもそも紹介してる横山自身、知らなそう) でも私は楽しかった!だから満足!